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片岡剛士さん(@goushikataoka)の消費増税後の反動減の図が怖すぎる件

グッグッモーニン!
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■あれ今回の消費増税の影響そんなないんじゃない?と思っていたけれど・・・
消費増税時、駆け込み需要があった後には、反動減がある、とされていますが、実際、何だか今回の増税の影響は、いろいろな経済指標の改善を見る限り「あんまり反動減なんじゃない?」なんて思ってました。

が、

三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員の片岡剛士さんがツイッターで公表なさっている図が、そんな淡い期待を裏切る怖すぎる図になっています。

それがこの図。

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出所https://twitter.com/goushikataoka/status/471861960384843776/photo/1 >


この図を見ると、前回(1997年)の消費税増税時にも、大幅な駆け込み需要と、その後の反動減が見られましたが、やはり今回の消費増税でも、駆け込み需要と反動減が見られた、という結果になっています。


片岡さんご自身の見解はこちら↓↓↓



失業率はどうなるか?

で、働く人たちにとって、よほど重要なのは「失業率」です(「失業する」ってかなり重い話ですから)。

前回増税時に比べどうなっているかというと、同じく片岡さんがツイートされてる下の図を見ればわかります。

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出所https://twitter.com/goushikataoka/status/472212282009595906 >


上の図からは、前回増税時は、増税の2ヶ月前ぐらいから失業率は改善。増税時から失業率が悪化し出し、その後、悪化の一途を辿るという最悪の結果になったことがわかります。

また今回は、増税の8ヶ月ほど前から失業率の改善が続いており、増税の2ヶ月前に完全雇用失業率と言われている3.6%にまで到達(完全雇用失業率とは、「働きたい人が皆雇われている状態」での失業率のこと=それ以降、それ以上失業率が改善することはありません=働きたい人は皆、雇用されているから)。すなわち、2ヶ月前から失業率は横ばい・・・といった形になっています。

前回増税時は、増税後一ヶ月で、ポンと失業率が悪化しているので、今回もそのことが心配です。


■巷では人手不足が始まっているというけれど・・・

とはいえ巷では、人手不足が始まっているという報道が連日続いています。

そういった報道を見る限り、今回は大丈夫かなととも思えるのですが・・・、片岡さんは、気がかりな点として「新規求人倍率が、今回の増税の2ヶ月前から減少し続けていること」をもって「心配だ」とされています。

そのことがわかるのが、同じく、片岡さんがツイートされている下の図です。


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<出所: https://twitter.com/goushikataoka/status/472212282009595906/photo/1 >


この図を見ると、もちろん前回増税時以降は、順調に新規求人倍率は減少の一途を辿ったわけですが、今回も新規求人倍率が、2月以降悪化しています。

で、「新規の求人倍率」っていうのは、「今後、企業がどれほど自社の業績が改善するか(悪化するか)」の先行きの予想を如実に反映するものなので、今後の景気動向を占う際に、よほど重要なデータです。


■今後どうなるか?

それで、じゃあ今後景気はどう推移するか? ですが、「今後の景気動向を睨みながら、先行して動く」と言われている日経平均株価は、ここ3ヶ月で見ると緩やかに下げ続けています(下の図参照)。

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で、「今後投資家の人が、インフレ率がどうなると思っているのか?」という予想インフレ率の代替数値になるのが、BEI(ブレークイーブンインフレ率)ですが・・・、

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出所file:///C:/Documents%20and%20Settings/STUDIO%20BiBi/%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97/bei20140510.pdf >


上の図を見る限り、消費増税前までは順調に上げていたのに、2014年4月から順調に下げています。

むう、今後、株価は、失業率は、どうなっていくのか・・・。


■なんで消費増税しちゃったのよ?

で、今更なんですが、こんなに心配しなきゃいけないのに、なんで増税しちゃったのよ? って話です。

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出所http://bit.ly/1nSxvR7 >


上の図を見れば、「前回の消費増税以降、日本の税収減ってまってるやん!」ていうのが悲しい事実なのです。

ぶちゃけ、いらんことすな!

というのが僕の感想です。


■参考文献

そんな、毎月役立つツイートをなさっている片岡剛士さんの最新作は、『アベノミクスのゆくえ 現在・過去・未来の視点から考える』(光文社新書)です。

【内容紹介】
アベノミクスとも言われる「大胆な」金融政策、「機動的な」財政政策、「民間投資を喚起する」成長戦略の3つの経済政策への期待感は、現在、将来の予想が重要な材料となる株式市場や為替市場の活況という形で表れている。
一方で、例えば「大胆な」金融政策は長期金利の急騰や行き過ぎたインフレをもたらすのではないか、結局賃金上昇という形で国民に恩恵が行き渡らないのではないかといった不安の声も聞こえる。
このような期待と不安が入り混じる現状において、アベノミクスをどう評価すればいいのか? 
気鋭のエコノミストが、アベノミクスを支える“3本の矢"の現状評価と今後のゆくえを、精緻な分析によって論じる。


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『アベノミクスのゆくえ』(kindle版) (新書版)


現場からは以上です!!